トキファントップページ写真 撮影小話(1)
佐渡の暮らしにおいて身近に見られるようになってきたトキ。ところが撮影しようと思うとこれまたなかなか大変なもの。トキファントップページを彩るトキを撮影した大山文兄さんに、撮影時の小話を伺いました。

「トキの羽が一番きれいな季節は、繁殖期の黒い羽が抜け変わる9月から1月にかけて。佐渡にはそんなトキの姿を求めて多くの方が訪れます。ただ、トキはとても臆病な生きものなので、トキを驚かさないように『観察は車内から』というルールがあります。
そしてこれからの季節、寒くなって車内での暖房が欠かせなくなりますが、実はトキの撮影で暖房を使うのはNGです。私もトキの撮影をはじめて間もないころ、暖房を入れながら撮影を行なっていました。ところが、大きなモニターに写真を映し出してみると、なぜかピントにキレがないのです。
理由が分かるまでレンズの不調を疑っていましたが、ふと、わずかに開いていた車の窓からの風景が揺らいで見えるのに気づきました。夏場の陽炎のような状況を思い浮かべてください。暖房であたためられた車内の空気が窓から外に出ていくとき、揺らぎがわずかですが発生していたのです。これか!
それからはどんなに大雪だろうと、トキの撮影では暖房を一切使わずに厚着で行なっています。もし車内からの撮影でピントが悪いと感じたならば、まずは暖房を切るのもひとつの手です。とても寒いですが… 」

【 撮影者紹介 】
大山文兄(おおやま ふみえ)
産経新聞で2008年のトキ初放鳥から野生復帰取材を継続し、退職後の2020年に佐渡移住。トキのエサ場となる4町歩のほ場管理を行いながら、四季折々のトキの姿を撮影。写真集に「トキ物語 佐渡島から」(産経新聞出版)
※「トキデスクカレンダー2023」は大山さんの写真です