第20回トキ野生復帰検討会の報告

 トキ野生復帰検討会は、トキ保護増殖事業の実施にあたり、環境省が科学的な知見に基づく意見を専門家から聴取することを目的として設置した検討会です。令和3年10月8日に「第20回トキ野生復帰検討会」がオンラインで開催されました。その中で、私が注目した事柄をまとめてみました(仲川)。

  • 2021年繁殖期の結果について
    孵化率・巣立ち率については2017年をピークとして低下が続いている。今年は4月18日から19日にかけて非常に強い低気圧が佐渡に接近し、17巣が抱卵を中止した。今期の繁殖率低下の大きな要因として、この悪天候の影響が考えられる。
今年巣立ったヒナ

 また、今期から巣の中のヒナがテンに襲われることを防ぐため、営巣木とその周辺の木にポリカーボネイト製の波板を巻く対策をとった。この効果が認められたため来年度も積極的に設置を行うことになった。

波板を巻いた営巣木
  • 佐渡での野生下トキ、今後の個体数予測
     近年トキの生存率と繁殖成績の低下が続いていることから、今後のトキの個体数の推移についてシミュレーションを行った結果、佐渡で年30羽の放鳥を継続した場合、637羽程度の個体数が維持されるという予測が出た。
  • 多摩動物公園におけるトキの一般公開計画について
    本州の分散飼育地で唯一一般公開していない多摩動物公園でも、トキを一般公開するための計画づくりが始まった。進捗状況によって時期は変わるが、令和7年には一般公開が始まる予定。詳しい資料は後日、環境省関東地方環境事務所のHPに掲載されます。

現在は第19回までの資料が以下に掲載されています。
http://kanto.env.go.jp/wildlife/mat/tokihogozousyoku.html