ARさんのお仕事
ARとは「アクティブ・レンジャー」の頭文字です。
長いので文中ではARと表記しますが、ADさんやCAさんのように一般的ではないので、違和感を持つ方は「アクティブ・レンジャー」と読んでください。ARは環境省の自然保護官を補佐する役割で、全国各地の自然保護官事務所などに配置されています。佐渡の自然保護官事務所には2人のARさんがいますが、具体的にはどんなお仕事をしているのでしょうか。疑問を解明すべく、ARの菅野萌(かんのもえ)さんにインタビューしました。


菅野さんは2019年4月に採用、現在24歳と若いながらも今年で3年目のARさんです。生まれも育ちも東京都江戸川区とのことですが、里山の保全や人と田んぼの関わりなどに興味があって、東京農業大学短大及び東京環境工科専門学校で田んぼのこと、動植物のこと、里山保全など様々なことを学びました。そして、専門学校卒業の年に学校に貼り出されていた佐渡のAR募集の掲示物を見て応募し、みごと採用され、初めて佐渡にいらっしゃったそうです。
東京で生まれ育った菅野さんが何故里山に興味を持ったのかが不思議でお聞きしたら、子どもの頃にお父さんが勤務する会社のCSR(社会貢献)として、茨城県内にある田んぼの田植えや稲刈りなどに親子で参加していたこと、また、小学校近くの川の美化活動などで身近な自然に親しんでいたことが影響したのでしょうと話してくださいました。
さあ、では佐渡でのARさんのお仕事とは?
主なお仕事は次の2つです。
1.トキのモニタリング
モニタリングは、野外でのトキの生息状況を把握するために、ボランティアの方々等を含めたモニタリングチームで行っています。 夜明け前からトキがねぐらとしている林を観察して、そこからねぐら出した羽数を記録したり、モニタリングチーム内で無線で連絡を取り合いながら、トキの個体番号の識別や行動などを記録します。環境省の職員は交代で1、2名出て、一緒にモニタリングを行い、終了後には観察結果をまとめてチームメンバーと共有します。菅野さんは平均すれば週に2回くらい出ているそうです。日の出が早い6月には午前3時ごろに起床しますが、「もう早起きには慣れました」とさわやかに笑っていました。
2.普及啓発活動
主に子どもたちに、トキのことやトキの野生復帰についてのお話をします。ちょうど、取材した日の午前中も小木小学校の子どもたちに「トキのテラス」でお話をしたそうです。

佐渡でのARに応募した動機として、一つの生きものの生態をじっくり調査観察してみたいと思っていたので、「トキ」でそれができると思ったこと。さらに、環境教育にも興味があったので、トキの普及啓発業務でそれが実現できると思ったこと。この二つが理由ですと教えてくれました。自分がやりたいと思ったことを実現させている菅野さん、素敵です。最後に、佐渡で暮らしていての感想(良いと思うこと)をお聞きしました。
「山、海、田んぼといった多様な自然に囲まれていること。そして、地元の方たちが野菜やお米などを分けてくださったりする、人と人との結びつきの温かさがいいですね。」お休みの日には周辺の自然を観察したり、時には海岸で釣りをすることもあるという菅野さん、これからも佐渡の自然を存分に満喫してください!