野生下トキのヒナ今季初の巣立ち確認

平成28年5月18日(木)環境省からの発表で、今期最初の巣立ちを確認しました。5月18日時点で、1組で巣立ちを確認し、営巣が確認されているペアは、全体で28組、そのうち15組で育雛、11組で抱卵が確認されています。

1 巣立ちを確認したペアについて ※野生下で誕生したトキ同士のペアではありません。
(1)個体番号:足環なし(オス) 及び No.201(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月18日(水)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:4月14日にヒナ2羽の姿を確認し、4月22日にヒナ計3羽の姿を確認していた。5月18日6時20分頃から6時45分頃にかけてモニタリングチーム(市民ボランティア)が巣の様子を観察したところ、6時35分頃に3羽のヒナが巣の近くの枝に両脚で留まる様子が確認されたことから、3羽が巣立ちをしたと判断した。その後、8時50分頃から11時32分頃にかけて環境省職員が巣の様子についてビデオカメラで撮影を行い、9時30分頃に3羽が巣立つ様子を確認した。5月17日に観察を行った際は、巣立ちは確認されていなかったことから、それ以降に巣立ちした可能性が高いと思われる。

トキの巣立ち雛
巣立ちしたヒナ3羽(足環なし、No.201ペア)


2 足環装着等を行ったペアについて
(1)個体番号:No.161(2011年生まれ、オス) 及び No.149(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月18日(水)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:5月18日午前6時6分頃から環境省職員等6名が営巣地に入り、捕獲作業員がスダジイの営巣木に登りヒナ3羽を捕獲した。捕獲したヒナを地上に下ろし足環装着及び身体測定等を実施後、ヒナを巣に戻したうえで、7時46分頃に現場から撤収した。8時4分頃にNo.149(メス)が巣に戻り、9時4分頃に同個体がヒナへ給餌する様子が確認された。なお、ヒナの推定日齢は、18日齢から22日齢程度で、個体の足環番号は、No.A46からNo.A48である。

3 再営巣・抱卵を確認したペアについて
(1)個体番号:No.11(2006年生まれ、オス) 及び No.03(2005年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月18日(水)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月29日に営巣・抱卵が確認された後、5月3日に抱卵中止を確認していた。5月18日午前5時30分頃から6時頃にかけて、モニタリングチーム(市民ボランティア)が巣を観察したところ、スギの巣上にNo.03(メス)が座り込んでいる様子が確認されたことから、抱卵を再開したものと判断した。5月16日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。営巣場所は、集落に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。