野生下トキの営巣状況(5/6)

平成28年5月6日(金)時点での野生下のトキの営巣状況について、お知らせします。営巣が確認されているペアは、全体で32組、そのうち14組で育雛、16組で抱卵が確認されています。

1 ヒナを確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:No.107(2010年生まれ、オス) 及び No.154(2009年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月30日に営巣・抱卵を確認していた。5月2日午前6時55分頃から8時頃にかけてモニタリングチーム(調査請負事業者職員及び新潟大学職員)が巣を観察したところ、親鳥がヒナに給餌する様子がみられ、その際に巣上にヒナ1羽の姿を確認した。5月1日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.161(2011年生まれ、オス) 及び No.149(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月27日に営巣・抱卵を確認していた。5月2日午前9時37分頃から10時5分頃にかけてモニタリングチーム(調査請負事業者職員)が巣を観察したところ、No.161(オス)とともに巣上にいるヒナ1羽の姿を確認した。また、5月6日午前9時15分頃に同職員が巣を観察した際には、ヒナ2羽の姿を確認した。5月1日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。

抱雛交代するトキ
抱雛交代するNo.161とヒナ1羽に給餌するNo.149(No.161、No.149ペア)


(Ⅲ)
(1)個体番号:No.177(2012年生まれ、オス) 及び No.199(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月3日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月4日に営巣・抱卵を確認していた。5月3日6時頃から9時45分頃にかけてモニタリングチーム(新潟大学職員)が巣の様子をビデオカメラで撮影し、撮影した映像を確認したところ、No.177(オス)がヒナの死体を巣から落とす様子が確認された。5月1日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われるが、ヒナが死亡した原因は不明である。また、5月5日午前7時30分頃から7時50分頃にかけてモニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、No.177(オス)がヒナに給餌する様子がみられ、その際に巣上にヒナ1羽の姿を確認した。5月5日に確認されたヒナについては、5月3日以降にふ化した可能性が高いと思われる。

(Ⅳ)
(1)個体番号:No.74(2009年生まれ、オス) 及び 足環なし(メス)
(2)確認日:平成28年5月6日(金)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月31日に抱卵を確認していた。5月6日午前6時14分頃から6時26分頃にかけて環境省職員が巣を観察したところ、親鳥1羽とともに巣上にいるヒナ1羽の姿を確認した。5月4日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。

2 給餌行動(ヒナ誕生)を確認したペア
(1)個体番号:No.67(2009年生まれ、オス) 及び No.95(2010年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月3日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月1日に営巣・抱卵を確認していた。5月3日午前9時10分頃から10時5分頃にかけてモニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、No.67(オス)がヒナに餌を与える様子を確認したことから、ヒナが誕生しているものと判断した。5月2日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。

3 抱卵を確認したペアについて
(1)個体番号:No.48(2007年生まれ オス) 及び No.69(2009年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月1日(日)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月26日に営巣を確認していた。5月1日午前6時57分頃から7時5分頃にかけて、モニタリングチーム(調査請負事業者職員)が巣を観察したところ、巣上にNo.69(メス)が座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。4月29日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

4 営巣を確認したペアについて
(1)個体番号:No.179(2012年生まれ、オス) 及び No.120(2010年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:3月中から2羽で行動する様子が観察され、4月下旬にかけて2羽で巣造りする様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。5月2日午前8時30分頃から8時40分頃にかけて、環境省職員が巣を観察したところ、スギの樹上で2羽で巣造りする様子が確認され、巣材がある程度積み重なっていたことから、営巣を開始したものと判断した。
営巣場所は、水田に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さ
に造られている。

5 抱卵中止を確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:No.212(2013年生まれ オス) 及び No.218(2014年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年4月30日(土)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月25日に営巣・抱卵を確認していた。4月30日午後1時20分頃から1時30分頃にかけて、環境省職員が巣の様子を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、同日に巣の下を踏査したところ、卵の殻2個分を確認し回収したが、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.90(2009年生まれ オス) 及び No.79(2010年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月1日(日)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月21日に営巣・抱卵を確認していた。5月1日午前7時30分頃から8時30分頃にかけて、モニタリングチーム(調査請負事業者職員が巣の様子を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、同日に巣の下を踏査したところ、卵の殻4個分を確認し回収したが、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅲ)
(1)個体番号:足環なし(オス) 及び No.234(2013年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月1日(日)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月21日に抱卵を確認していた。5月1日午前9時20頃から9時38分頃にかけて、環境省職員が巣の様子を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、同日に巣の下を踏査したところ、卵の殻1個分を確認し回収したが、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅳ)
(1)個体番号:No.23(2008年生まれ、オス) 及び No.26(2008年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月24日に再営巣・抱卵を確認していた。5月2日午前6時55分頃から8時頃にかけて、モニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、卵の殻の回収は本日時点では実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅴ)
(1)個体番号:No.91(2009年生まれ オス) 及び No.181(2013年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月24日に再営巣・抱卵を確認していた。5月2日午前6時30分頃から8時25分頃にかけて、モニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、卵の殻の回収は本日時点では実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅵ)
(1)個体番号:No.A09(2014年生まれ オス) 及び No.219(2014年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年5月2日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月19日に営巣・抱卵を確認していた。5月2日午前5時53分頃から6時頃にかけて、環境省職員が同ペアが営巣地と異なる地区で行動する様子を観察し、抱卵が継続していない状況であることから、抱卵を中止したものと判断した。なお、卵の殻の回収は本日時点では実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅶ)
(1)個体番号:No.11(2006年生まれ、オス) 及び No.03(2005年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月3日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月29日に抱卵を確認していた。5月3日午前6時30頃に同ペアが林外に飛去する様子を環境省職員及びモニタリングチーム(市民ボランティア)が確認し、11時頃に同職員が巣を観察した際にも巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、同日に巣の下を踏査したところ、卵の殻2個分を確認し回収したが、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(Ⅷ)
(1)個体番号:No.143(2011年生まれ、オス) 及び No.183(2013年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年5月3日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月22日に抱卵を確認していた。5月3日午前6時34分頃から7時7分頃にかけて、モニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、卵の殻の回収は本日時点では実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。