野生下で誕生したトキ同士のペア ヒナ誕生

平成28年4月22日(金)環境省からの発表で、新潟県佐渡市において、3月20日に抱卵を確認していた野生下で誕生したトキ同士のペアに、ヒナが誕生しているのが確認されました。野生下で誕生したトキ同士のペアによるヒナ誕生は、昭和51年以来、40年ぶりとなります。また、本日時点での野生下のトキの営巣状況について、併せてお知らせします。営巣が確認されているペアは、全体で37組、そのうち3組で育雛、33組で抱卵が確認されています。

1 ヒナを確認したペア(野生下で誕生したトキ同士のペア)について
(1)個体番号:No.A02(2013年生まれ、オス) 及び No.A01(2013年生まれ、メス)
 ・No.A02:No.67(オス)/No.80(メス)ペアから誕生
 ・No.A01:No.33(オス)/No.38(メス)ペアから誕生
(2)確認日:平成28年4月21日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月18日に営巣を確認し、3月20日に抱卵を確認していた。4月21日午後3時30分頃に撮影されたビデオカメラの映像に、親鳥1羽がヒナに給餌する様子がみられ、その際に巣上にヒナ1羽の姿を確認した。20日に観察を行った際は、ヒナの姿は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。
※ビデオカメラは、4月21日午後2時16分頃から5時10分頃にかけて環境省職員が巣の様子を撮影したもので、ビデオカメラを回収した後の映像再生確認により、午後6時頃にふ化を確認した。

雛に給餌するトキ
ヒナに給餌する不明個体(No.A02、No.A01ペア)

2 給餌行動(ヒナ誕生)を確認したペア
(1)個体番号:No.68(2009年生まれ、オス) 及び No.78(2010年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年4月21日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月24日に抱卵を確認していた。4月21日午前8時3分頃から8時26分頃にかけてモニタリングチーム(新潟大学職員)が巣を観察したところ、No.68(オス)がヒナに餌を与える様子を確認したことから、ヒナが誕生しているものと判断した。20日に観察を行った際は、給餌行動等は確認されていなかったことから、それ以降にふ化した可能性が高いと思われる。

3 抱卵を確認したペアについて
(1)個体番号:足環なし(オス) 及び No.234(2013年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年4月21日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、4月16日に営巣を確認していた。4月21日午後2時33分頃から2時48分頃にかけて、環境省職員が巣を観察したところ、巣上に1羽が座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。4月20日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

4 営巣・抱卵を確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:No.81(2007年生まれ オス) 及び No.66(2009年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年4月19日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:この2羽は、飼育番号No.34(オス)とNo.58(メス)の子にあたるきょうだいペアである。4月上旬頃から営巣地付近で同ペアとみられる個体が行動する様子が確認されていたが、営巣地点が把握できない状況となっていた。4月18日午前5時45分頃から11時頃にかけて、環境省職員及びモニタリングチーム(新潟大学職員)が調査を行ったところ営巣地点が判明し、巣を観察したところ、落葉広葉樹の樹上に巣が造られ巣上にNo.66(メス)及び不明個体が交互に抱卵する様子が確認された。19日午前8時29分頃から11時9分頃にかけて環境省職員が巣の様子をビデオカメラで撮影を行い、撮影した映像を確認したところ、No.81(オス)とNo.66(メス)が交互に抱卵する様子がみられたことから、18日時点で同ペアが抱卵を開始していたものと判断した。これまでの観察経過から、産卵時期を特定することは困難である。営巣場所は、休耕田に隣接する雑木林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.90(2009年生まれ オス) 及び No.79(2010年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年4月21日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:3月下旬頃から営巣地付近で同ペアとみられる個体が行動する様子が確認されていたが、ペアの特定ができない状況となっていた。4月21日午前8時30分頃から9時22分頃にかけて、モニタリングチーム(調査請負事業者職員)が巣を観察したところ、スギの樹上に巣が造られ巣上に2羽が交互に座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。4月20日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。営巣場所は、集落に隣接する雑木林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

(Ⅲ)
(1)個体番号:No.A18(2014年生まれ オス) 及び No.217(2014年生まれ メス)
(2)確認日:平成28年4月21日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:4月上旬頃から営巣地付近で同ペアとみられる個体が枝を運ぶ様子が観察され、同中旬頃にかけて2羽で巣造りする様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。4月21日午後3時30分頃から3時37分頃にかけて、環境省職員が巣を観察したところ、スギの樹上に巣が造られ巣上に1羽が座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。4月20日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。営巣場所は、水田に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。