野生下のトキの営巣状況

平成28年4月5日時点での野生下のトキの営巣状況について、お知らせします。営巣が確認されているペアは全体で27組、そのうち23組で抱卵が確認されています。

1 営巣・抱卵を確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:No.138(2011年生まれ、オス) 及び No.195(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年4月4日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:2月中から2羽で探餌する様子が見られ、3月中旬頃にかけて同ペアとみられる個体が、営巣地付近で行動する様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。4月4日午前9時22分頃から10時15分頃にかけて環境省職員が巣を観察したところ、スギの樹上に巣が造られ巣上にNo.138(オス)が座り込んでいる様子を確認したことから、抱卵を開始したものと判断した。これまでの観察経過から、産卵時期を推定するのは困難である。営巣場所は、水田及び集落に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.177(2012年生まれ、オス) 及び No.199(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年4月4日(月)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:2月中から擬交尾する様子が観察され、3月下旬頃に同ペアとみられる個体が、営巣地付近で枝を運ぶ様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。
4月4日午後3時5分頃から3時28分頃にかけてモニタリングチーム(調査請負事業者職員)が巣を観察したところ、スギの樹上に巣が造られ巣上にNo.177(オス)が座り込んでいる様子を確認したことから、抱卵を開始したものと判断した。4月3日に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。営巣場所は、水田に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

抱卵するトキ
巣を整えた後抱卵するNo.177(No.177、No.199ペア)

2 営巣を確認したペアについて
(1)個体番号:足環なし(オス) 及び No.A21(2014年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年4月5日(火)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:2月下旬頃から2羽で行動する様子が観察されていたが、3月下旬頃にかけてはペアの動きから営巣場所が特定できない状況にあったため、注意して観察を継続していた。4月5日午前5時30分頃から9時6分頃にかけて環境省職員が巣を観察したところ、2羽で巣造りする様子が確認され、スダジイの樹上に巣材がある程度積み重なっていたことから、営巣を開始したものと判断した。営巣場所は、海岸及び集落に隣接する雑木林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

巣を整えるトキ
2羽で巣を整える足環なし、No.A21ペア

【繁殖期のトキの観察について】
 繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。