野生下のトキの営巣状況

平成28年3月25日(金)時点での野生下のトキの営巣状況について、お知らせします。営巣が確認されているペアは全体で13組、そのうち9組で抱卵が確認されています。

1 抱卵を確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:No.205(2012年生まれ、オス) 及び No.192(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月23日(水)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月22日に営巣を確認していた。3月23日午後4時10分頃から4時19分頃にかけて、環境省職員が巣を観察したところ、巣上に1羽が座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。3月22日の日中に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.68(2009年生まれ、オス) 及び No.78(2010年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月24日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月18日に営巣を確認していた。3月24日午前5時58分頃から7時7分頃にかけてモニタリングチーム(調査請負事業者職員及び市民ボランティア)が巣を観察したところ、巣上にNo.78(メス)とNo.68(オス)が交代で座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。3月22日の日中に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

抱卵するトキ
抱卵するNo.68(No.68No.78ペア)

(Ⅲ)
(1)個体番号:No.86(2009年生まれ、オス) 及び No.134(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月25日(金)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月22日に営巣を確認していた。3月25日午前6時35分頃から7時15分頃にかけて環境省職員が巣を観察したところ、巣上にNo.134(メス)とNo.86(オス)が交代で座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。3月22日に営巣が確認された際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

(Ⅳ)
(1)個体番号:No.33(2008年生まれ、オス) 及び No.38(2007年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月25日(金)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月17日に営巣を確認していた。3月25日午前7時43分頃から7時48分頃にかけてモニタリングリーム(市民ボランティア)が巣を観察したところ、巣上にNo.38(メス)が座り込む様子が確認され、午前8時7分頃から8時15分頃にかけて環境省職員が観察した際にもNo.33(オス)が座り込む様子が確認されたことから、抱卵を開始したものと判断した。3月24日の日中に観察を行った際は、抱卵が確認されていなかったことから、同日の夕刻以降に産卵した可能性が高いと思われる。

抱卵するトキ
抱卵するNo.33(No.33No.38ペア)

2 営巣を確認したペアについて
(Ⅰ)
(1)個体番号:足環なし(オス) 及び No.127(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月24日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:3月中旬にかけて同ペアとみられる個体が巣造りする様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。3月24日午前6時54分頃から7時17分頃にかけて、モニタリングチーム(調査請負事業者職員)が観察したところ、クロマツの樹上に1羽が巣材となる草を運ぶ様子が確認され、巣がほぼ完成している状態となっていたことから、営巣を開始したものと判断した。営巣場所は、畑地に隣接する松林で、巣は地上から約10メートル程度の高さに造られている。

(Ⅱ)
(1)個体番号:No.72(2009年生まれ、オス) 及び 足環なし(メス)
(2)確認日:平成28年3月24日(木)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:3月中旬にかけて同ペアとみられる個体が巣造りする様子が確認されていたため、注意して観察を継続していた。3月24日午前7時25分から7時37分頃にかけて、モニタリングチーム(調査請負事業者職員)が観察したところ、クロマツの樹上で1羽が巣造りする様子が確認され、巣がほぼ完成している状態となっていたことから、営巣を開始したものと判断した。営巣場所は、畑地に隣接する松林で、巣は地上から約10メートル程度の高さに造られている。

3 抱卵中止を確認したペア
(1)個体番号:No.23(2008年生まれ、オス) 及び No.26(2008年生まれ、メス)
(2)確認日:平成28年3月25日(金)
(3)場所:新潟県佐渡市
(4)経過:このペアは、3月22日に抱卵を確認していた。3月25日午前7時28分頃から8時58分頃にかけて、環境省職員が巣を観察したところ、巣が空いた状態となり抱卵の継続が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。なお、巣の下を踏査したところ卵の殻は見つからず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

【繁殖期のトキの観察について】
 繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。