野生下トキの今期最初の巣立ち及び営巣状況

平成26年5月13日(火)環境省からの発表で、新潟県佐渡市において、4月23日にヒナを確認していた野生下のトキのペアにおいて、今期最初の巣立ちが確認されました。
本日で1組が巣立ちとなり、営巣が確認されているペアは18組、そのうち7組で育雛、10組で抱卵が確認されています。

1. 巣立ちを確認したペア

(1)個体番号:No.86(2009年生まれ、オス)及び No.134(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月13日(火)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

4月23日に巣上にヒナ2羽の姿を確認し、30日にヒナ1羽に足環装着(1羽は行方不明)を実施していた。
5月13日午前4時50分頃から10時頃にかけて、環境省職員が巣の様子を撮影し、撮影した映像を確認したところ、7時42分頃、ヒナが巣の近くの枝に両脚で留まる様子が確認されたことから、巣立ちをしたと判断した。

巣立ちするヒナA07

足環装着したヒナの性別判定の結果

No.86/No.134ペア(4月30日足環装着) ・No.A07 メス
  
No.33/No.38ペア(5月9日足環装着) ・No.A08 オス
  ・No.A09 オス
  ・No.A10 メス

2. 営巣・抱卵を確認したペア

(1)個体番号:No.88(2009年生まれ、オス)及び No.120(2010年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月12日(月)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

この2羽は、2月下旬頃から3月中にかけて2羽での行動が観察され、4月に入ってから枝を運ぶ様子が確認されていた。
5月12日午前8時10分頃から11時30分頃にかけて、コナラの木の巣上に2羽が交互に座り込む様子が確認されたことから、営巣・抱卵を開始したものと判断した。このペアは、4月21日に2羽で林外に出る様子が観察されているが、その後の観察経過から、産卵時期を推定するのは困難である。
営巣場所は、落葉広葉樹と杉等が混じる雑木林で、巣は地上から10メートル程度の高さに造られている。

3. 抱卵中止を確認したペア

(1)

(1)個体番号:No.106(2010年生まれ、オス)及び No.122(2010年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月10日(土)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、4月21日に営巣・抱卵開始を確認したペアである。
5月10日午後12時50分頃から17時20分頃にかけ、巣の空いた状態が観察され、以降抱卵を再開する様子が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。
なお、卵の殻の回収は本日時点で実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(2)

(1)個体番号:No.48(2007年生まれ、オス)及び No.69(2009年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月11日(日)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

この2羽は、1月下旬頃から3月中にかけて2羽での行動が観察され、4月に入ってから枝を運ぶ様子が確認されていた。
5月11日午前6時頃にスギの木の巣上に1羽が座り込む様子が確認されたことから、営巣・抱卵を開始したものと思われたが、同日午後5時頃に確認したところ、巣の空いた状態が観察され、以降抱卵を再開する様子が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。
なお、卵の殻の回収は本日時点で実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

(3)

(1)個体番号:No.110(2010年生まれ、オス)及び No.147(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月13日(月)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、4月27日に営巣・抱卵開始を確認したペアである。
5月8日頃から巣の付近で姿や声が確認されず、12日にはNo.147が新穂地区の他のペアの巣で姿が確認されたことから、営巣の様子を確認したところ13日午前10時15分頃に2羽で林外にいる様子が観察され、抱卵を中止したものと判断した。
なお、卵の殻の回収は本日時点で実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。