野生下トキのヒナへの足環装着及び営巣状況

平成26年5月9日、環境省からの発表で、本日、野生下のトキのヒナへの足環装着が行われました。また、5月6日に確認された2012年に野生下で誕生したトキのヒナについて、本日2羽目が確認されました。本日時点での野生下のトキの営巣状況について、併せてお知らせします。営巣が確認されているペアは20組、そのうち7組で育雛、12組で抱卵が確認されています。

1. 足環装着等を行ったペア

(1)個体番号:No.33(2008年生まれ、オス)及び No.38(2007年生まれ、メス)
5月4日 ヒナ3羽を確認
(2)実施日:平成26年5月9日(金)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

6:05 林内作業班6名が営巣木のある林内に入り、準備作業を開始。
6:13 捕獲作業員が営巣木にロープを用い登り始める。親鳥は巣から飛去。
6:30 捕獲作業員がヒナ3羽を捕獲し、収容カゴに入れる。
6:33 収容カゴをロープで下ろし、地上で足環装着、身体測定(自然翼長・跗蹠長、嘴峰長)、羽毛採取(4枚、血液を用いた雌雄判別等に使用)、写真撮影を行う。同時に樹上で巣の計測等を実施
7:04 収容カゴを樹上に引き上げ、ヒナ3羽を巣に戻す。
7:15 全ての作業を終了し、林内から撤収。
7:40 親鳥1羽が巣に戻る
7:48 親鳥1羽によるヒナへの給餌を確認。

(5)捕獲したヒナの状況:

(1)A08
体重:914g
自然翼長:155mm
跗蹠長:57.2mm
推定日齢:13~14日齢程度
装着した足環:
ナンバーリング:プラスチック製の番号足環(「A08」を刻印)、左関節下
補助カラーリング:プラスチック製の黄・赤色の足環、右関節下3個
金属リング:環境省が定める全国共通の足環、左関節上
ヒナの健康状態:良好

(2)A09
体重:989g
自然翼長:165mm
跗蹠長:59.6mm
推定日齢:15日齢程度
装着した足環:
ナンバーリング:プラスチック製の番号足環(「A09」を刻印)、左関節下
補助カラーリング:プラスチック製の黄・赤色の足環、右関節下3個
金属リング:環境省が定める全国共通の足環、左関節上
ヒナの健康状態:良好

(3)A10
体重:935g
自然翼長:180mm
跗蹠長:57.2mm
推定日齢:18日齢程度
装着した足環:
ナンバーリング:プラスチック製の番号足環(「A10」を刻印)、左関節下
補助カラーリング:プラスチック製の黄・赤・緑色の足環、右関節下3個
金属リング:環境省が定める全国共通の足環、左関節上
ヒナの健康状態:良好

(6)営巣環境等

営巣木:クロマツ
巣の高さ:12m程度
巣の大きさ:長径90cm、短径60cm、厚さ25cm、深さ5cm
巣の下で卵の殻1個分を回収。

 

<作業実施体制>
林内作業(6名)
作業統括(環境省職員)
ヒナ捕獲作業員(山階鳥類研究所研究員)
足環装着(佐渡トキ保護センター職員)
保定(佐渡トキ保護センター職員)
記録(新潟大学職員、環境省職員)
林外作業(4名)
モニタリング(調査請負事業者職員、市民ボランティア2名、環境省職員)

2.育雛中止を確認したペア

(1)個体番号:No.50(2007年生まれ、オス)及び No.21(2006年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月9日(金)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、5月6日にヒナ1羽を確認したペアである。
5月9日午前5時40分頃から午後9時30分頃にかけて、巣の様子を観察したところ、巣が空いた状態となり親鳥の巣に戻る様子が確認されず、巣上にヒナの姿も確認できなかったことから、育雛を中止したものと判断した。前日午前7時10分頃に巣を観察した際にはヒナの姿が確認されていたが、その後行方不明となった理由については不明である。
なお、巣の下を踏査したところ、卵の殻2個分を確認し回収したが、巣内の観察は困難であり、育雛を中止した理由も不明である。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。