放鳥トキ足環装着結果及び営巣状況

 平成25年5月14日、環境省発表の営巣・抱卵・育雛状況です。1組の再営巣・放卵が確認されました。本日現在、営巣が確認されているトキは9組、そのうち3組で育雛、6組で抱卵が確認されています。

1.足環の装着等を行ったペア
 1)No.33(2008年生まれ、オス)及びNo.38(2007年生まれ、メス)

 確認日平成25年5月14日(火)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

6:05 5名が入林し、営巣木を捜索
6:10 営巣木を確認、親鳥は巣から飛去
6:15 木にはしご(8m)をかけ、ヒナ捕獲作業員1名が木に登り、巣内にヒナ1羽を確認。収容カゴをロープで樹上に引き上げる。
6:23 作業員が手でヒナを捕獲し、収容カゴに収容
6:25 収容カゴをロープで下ろし、地上で体重測定、足環装着、計測(自然翼長・跗蹠長、嘴峰長)、羽毛7枚を採取(血液を用いた雌雄判別等に利用)し、写真撮影を行った。同時に樹上で巣の計測等を実施
6:35 カゴを引き上げ、ヒナを巣に戻す。
6:45 全ての作業を終了し、営巣木付近から撤収
6:50 林外に到着・作業終了
7:11 親鳥1羽(No.38)が巣に戻る。
※林外からの観察では、11時現在明確な給餌は確認できていないが、親鳥によるヒナへの羽繕い等が確認されており、ヒナ、親鳥ともに落ち着いた様子

捕獲したヒナの状況

体重:1,223g
自然翼長:213mm
跗蹠長:76mm
推定日齢:22~26日齢程度
装着した足環
① ナンバーリング:プラスチック製の番号足環(「A01」の刻印)、左関節下
② 補助カラーリング:プラスチック製の黄色の足環、右関節下に3個
③ 金属リング:環境省が定める全国共通の足環、左関節上
ヒナの健康状態   良好

営巣環境等

営巣木:クロマツ
巣の高さ:14m
巣の大きさ:長径70cm、短径50cm、厚さ35cm、深さ5cm
巣の中及び巣の周辺でヒナの死体や卵殻は確認されなかった

<作業実施体制>
林内作業(5名)
作業統括(環境省職員)
ヒナ捕獲作業員(山階鳥類研究所研究員)
足環装着(佐渡トキ保護センター職員)
保定(佐渡トキ保護センター職員)
記録(新潟大学職員)
林外モニタリング(4名)
モニタリングチーム(環境省職員等)

ヒナに足環を装着するようす
巣に戻されたヒナ

2.再営巣・放卵を確認したペア
 No.88(2009年生まれ、オス)及びNo.115(2011年生まれ、メス)

 確認日平成25年5月13日(月)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、4月12日に今期2回目の営巣・抱卵を確認したが、4月2日に抱卵を中止しているのが確認されていた。
その後の観察においても、2羽がこの2回目に営巣した巣に飛来し、巣を整える様子が時折確認されていたが、5月13日午前4時過ぎにモニタリングチーム(請負事業者職員)が観察したところ、巣にメスが座り込んでいるのが確認され、今期3度目の営巣・抱卵を開始したものと判断した。
4月9日、10日の確認時にはまだ巣に座り込んでいなかったため、10日の夕刻以降に産卵した可能性が高い。

3.その他
1) ヒナの羽数の確認について(No.23及びNo.26)
  No.23(2008年生まれ、オス)、No.26(2008年生まれ、メス)のペアについては、4月30日にヒナ1羽の姿が確認されて以降、継続してヒナ1羽の姿が確認されていたが、5月11日午前6時頃に巣の中にヒナが2羽いることをモニタリングチーム(請負事業者職員)が確認した。ヒナはある程度大きくなっており、2羽は14日の時点でふ化後18日から20日程度経過しているものと考えられ、1週間以内(日時未定)に足環の装着作業を行う予定としている。

2)卵殻の回収について(No.11及びNo.03)
 5月9日に抱卵中止を確認していたNo.11(2010年生まれ、オス)及びNo.03(2010年生まれ、メス)のペアについて、巣の下を5月13日に踏査し、卵の殻2個分を回収した。有精卵と思われる痕跡は 確認できなかった。