放鳥トキの営巣状況(4月23日発表)

 平成25年4月23日、環境省発表の営巣・抱卵・育雛状況です。昨年3羽のヒナを育てたペアによる給餌(ヒナのふ化)も確認され、本日現在、営巣が確認されているトキは11組、そのうち2組で育雛、9組で抱卵が確認されています。

1.給餌を確認したペア
 No.67(2009年生まれ、オス)及びNo.80(2010年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月23日(火)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、昨年最初にふ化が確認され、3羽のヒナを育てたペアであり、今年は3月26日に営巣・抱卵が確認されていた。
4月23日にモニタリングチーム(環境省職員)が林の縁から観察したところ、午前9時59分及び10時15分に1羽(雌雄不明)が給餌をするのが確認された。ヒナの姿は確認されておらず、ヒナの数や大きさは不明である。

2.営巣の中止を確認したペア
 No.92(2009年生まれ、オス)及びNo.18(2005年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月22日(月)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、3月27日に営巣を開始したが4月4日に営巣を中止し、4月16日には別のペアが営巣していた巣で再営巣・抱卵しているのを確認していた。
4月22日にモニタリングチーム(ボランティアの市民)が観察したところ、6時47分に既に巣を空けているのが確認された。9時過ぎから巣の下を調査し、卵の殻1個分を回収した。

3.ヒナの姿を確認したペア
 No.33(2008年生まれ、オス)及びNo.38(2007年生まれ、メス)

給餌をするNo.38 (左) と巣をつつくNo.33 (右) 赤丸の中がヒナ
 確認日平成25年4月23日(火)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは3月16日に営巣、3月24日に抱卵を確認しており、4月22日に親鳥による給餌を確認していた。
4月23日にモニタリングチーム(ボランティアの市民)が観察したところ、6時01分にオスから給餌を受けるヒナ1羽の姿が確認された。その後、8時47分にもメスから給餌を受けるヒナの姿が確認されている。確認されたのは1羽で、巣内のヒナの数や巣に卵が残っているかについては不明である。

4.ヒナ(死体)の回収を行ったペア
 No.74(2009年生まれ、オス)及びNo.96(2010年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月22日(月)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 3月14日に営巣を確認し、4月17日と20日にヒナのふ化を確認したが、20日から22日にかけて2羽ともに死亡した可能性が高いと判断した。
4月22日17時頃にモニタリングチームが巣の下の調査を行ったところ、巣の下でヒナ1羽の死体(約35g※、腐敗臭が強い)と卵の殻2~3個分を回収した。この巣では、4月15日にはふ化直前のヒナ状の物体(厳密には「胚」であるが、以下、便宜的に「ヒナ」で統一)を、4月22日にはヒナ1羽の死体をオスが巣の外に放棄するのが確認されている。このため、回収したヒナはこのいずれかだと考えられる。卵殻の内側にはいずれも有精卵の痕跡である血管様の組織が確認された。
巣の中には、依然ヒナ1羽の死体が残っている可能性が高いが、映像からは十分な判別は難しい。また、巣は枝先に位置しており、人が登るのが難しいことから巣内のヒナの回収は行わない予定。
今後、数日以内に解剖等を行い、ヒナの特定と死亡原因の推定を試みる予定としている。
※通常のヒナは、50~60g程度でふ化することが多い。

【繁殖期のトキの観察について】
 繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。