放鳥トキの死亡を確認

8月13日(月)環境省から発表で、佐渡市の水田の畦で、放鳥トキ1羽の死体が確認されました。
この個体は、2010年11月1日(月)から実施された第3回放鳥において、11月2日(火)に順化ケージから飛翔した、2009年生まれのメスで、本年2例目のヒナのふ化・3羽のヒナの巣立ちが確認されたペアのメスです。
放鳥トキの死体が発見されたのは、これまでで4例目です。死亡原因は不明です。

1.死亡した個体
  (2009年生まれ、メス) GPS送信器装着個体
  ※GPS送信器は発見されていません。

2.同個体のこれまでの経緯

2010年11月2日(火)  佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションの順化ケージから飛翔(第3回放鳥)。
2011年5月2日(月) 羽茂地区で2007年生まれ、オスと営巣するのを確認。
2012年4月2日(月) 昨年と同じ相手と同じ場所で営巣するのを確認。
 4月5日に抱卵を確認。
5月5日(土) 巣の中にヒナ1羽を確認。8日に2羽を、11日には3羽を確認 (2組目のふ化確認)。
6月7日(月) 1羽目のヒナの巣立ちを確認。8日に2羽目、11日に3羽目の巣立ちを確認。
7月24日(火) 6時20分頃、同ペアを含む成鳥3羽にテンが接近し、トキが飛翔するのをモニタリングチーム(市民)が目撃。
 9時頃、同個体を含む3羽が1時間ほど餌を探すのを確認(目視による最後の確認)。
 18時時点のGPS送信器による位置情報を取得(最後のGPS情報)。

3.死亡個体の確認場所・確認状況

(1)確認場所 新潟県佐渡市の山間部の水田

(2)確認状況
  8月13日(月)朝、羽茂地区の山間部の水田で畦の草刈りをしていた地元の男性が、直径2mほどの狭い範囲を中心に畦の上に羽根が散在しているのを確認し、一部を回収した(その時点でトキという確信はなかった)。8月15日(水)夕刻に、モニタリングチームの市民がこの情報を得て環境省に連絡、翌16日(木)午前6時頃にモニタリングチーム(環境省職員及び市民)が発見者へのヒアリング・現地調査を行い、トキの死体であることを確認し、残る羽根等を回収した。
  拾得されたのは、風切羽、羽毛、左右の上腕骨のほか、脚部に識別のために装着していたカラーリング3個のうちオレンジ色の2個であった。ナンバーリングやGPS送信器、上腕骨以外の骨等の組織は確認できなかった。
  カラーリングの色、上腕骨のサイズ、死体の確認日、他の個体の確認状況等から、当該個体は、本年2組目のヒナのふ化・巣立ちが確認されたペアのメス、(2009年生まれ)であると判断した。
  回収された部位が限られているため、直接の死亡原因の特定は困難と考えられるが、上腕骨にタヌキによる捕食を受けたと思われる部分的な欠損が見られた。
死亡時期についても特定は困難だが、死体の劣化が激しいことから、最後に確認された7月24日以降の比較的早い時期に死亡した可能性が高いと思われる。
  なお、同ペアから巣立った幼鳥3羽は現在、他の成鳥を含む14羽程度の群れに含まれており、既に親鳥からの給餌を受けずに自立していると考えられることから、親鳥の死亡が幼鳥の生存に直接影響するものではないと考えられる。

4.放鳥されたトキのこれまでの死体確認例

(1例目の状況)
 ・死体確認日…平成20年12月14日
 ・個体 (第1回放鳥個体、1歳、メス)
 ・死体確認場所…佐渡市潟端
(2例目の状況)
 ・死体確認日…平成22年12月27日
 ・個体 (第3回放鳥個体、4歳、メス)
 ・死体確認場所…新潟市西蒲区
(3例目の状況)
 ・死体確認日…平成23年3月28日
 ・個体 (第3回放鳥個体、2歳、メス)
 ・死体確認場所…佐渡市新穂大野

 ※年齢はいずれも死亡時のもの