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5.活動支援制度の創出
【企業CSRによる餌場創出活動】
里地ネットワークでは、事務所が東京にある地の利を活かして、都内企業へCSR活動としてトキの餌場整備活動の呼びかけを行っている。 企業が活動資金と社員による保全整備を行うなどし、新たな餌場創出を行うものである。このCSR活動の受け入れと現地指導は、 地域団体や農業者が行う。企業と地域社会の連携は、餌場づくりだけでなく、新たな交流と地域社会づくりにつながる。
CSR活動に限らず、さまざまな企業、団体、研究者等の主体がトキとの関係をもつことは、 佐渡島にとってもトキの野生復帰にとっても有益な効果を生む。単なる資金拠出や活動支援のみならず、 実際に企業等の主体を構成する人の参画を地域社会につなげることは、受け入れを通じて地域が活性化し、企業は新たな視野を広げることになる。 トキの野生復帰と地域社会づくりは、佐渡の地域社会のみならず、佐渡以外の企業、団体、 研究者等さまざまな主体に生物多様性を含めた新たな価値をもたらすことが可能である。

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平成19年より年2回社員研修として餌場整備活動を開始した金羊社


6.地域社会モニタリング
第4ステップでは、放鳥後のモニタリングが大きな意味を持つ。モニタリングと地域社会づくりについての論点整理を行う。

【教育研究機関によるモニタリング】
トキの野生復帰のモニタリングは、専門家による調査活動と位置づけると、地域社会との関係性が途絶える。また関係性がもてたとしても、 一部の指導を受け入れた人の専権事項となり、地域社会の参画度合いは薄れる。その結果、地域社会が疎外を感じ、 トキの野生復帰に対する関心の低下や不信にむかう可能性をもつ。
地域社会がモニタリングの一部を担うことでトキの野生復帰は地域社会の主体的な参画意識をもたらし、トキへの関心は継続し、餌場整備活動、 ねぐら創出活動、トキツーリズムやトキガイド、トキの産品開発へと発展させることができる。 トキと人々との暮らしの関係性づくりが地域社会モニタリングの一つの側面である。

【地域社会によるモニタリングと意味】
各地区の高齢者にとって、「モニタリング」は、なじみのない言葉である。しかし、自分の田んぼの位置や、かつてトキの飛来した場所、 湧水や溜池は、高齢者にとって自慢の場所あり、紹介したり案内したりすることは、生き甲斐ともなる。自らの田んぼや水路とトキがつながれば、 高齢者の日常的な活動は、トキの餌場との関係として注目されることになる。
航空写真によるモニタリングマップは、高齢者にとっても、自分の田んぼの位置を特定でき、位置の把握は容易である。。トキが飛来すれば、 その場所をモニタリングマップに示すことができる。地域社会モニタリングとは、地区住民、 とりわけかつての自然環境や地域社会を知る高齢者の暮らしとトキのモニタリングを重ねるしくみである。

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各集落に掲示している地域社会モニタリングマップ(A)
航空写真にマップピンで表示し水田一枚一枚のビオトープ化の現況を住民自身が把握する

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集落会合でトキのためのビオトープや環境保全型の水田への移行場所を検討し、 トキと共生した暮らし方を考える

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ビオトープマップ(A)をもって、現場の状況を確認する。
次期保全ヵ所の検討やツーリズムの検討も行う

 

7.地域社会づくりにはじまる生物多様性
トキの野生復帰のための地域社会づくりの根幹は、餌場を守り続ける地区住民の日常に光をあて、経済的な活性化のみならず、 高齢者を含む地区の構成員全員が誇りを持つ状況を作ることである。トキの野生復帰の真の主体は、地域社会の中で、日々田畑を耕作し、溜池、水路、 水田を維持管理している、地域の取り組みである。トキの野生復帰に限らず、生物多様性の保全には、地域社会づくりが大切だと私は考えている。

[ 2008年07月02日 | レポート ▼ひとつ前へ戻る ▲ひとつ次へ進む ]