放鳥トキの営巣・抱卵状況について(4月9日発表)

 平成24年4月9日(月)環境省からの発表で、佐渡市において、新たに営巣を開始するのが確認されたペア1組が産卵した翌日に卵をカラスに奪われました。その後、2つめと思われる卵を産卵し、抱卵を継続しています。
また、営巣状況が不明だった別のペア1組について、重点的な調査を行ったところ、巣と卵の殻が確認され、すでに営巣・産卵を行った後に抱卵を中止していたことがわかりました。
さらに、別のペア1組が新たに営巣を開始しているのが確認されました。

現時点で営巣が確認されている放鳥トキのペアは6組、抱卵が確認されているペアは、そのうち5組となりました。

1.営巣・抱卵を確認したペアについて
営巣ペア:(2007年生まれ、オス)及び(2006年生まれ、メス)
確認日:4月6日(金)
営巣場所:新潟県佐渡市
確認の経過:このペアは、昨年も営巣・産卵が確認されたペアで、今年は3月末頃からねぐらとしている平野部の林に頻繁に枝を運ぶ姿が確認されていた。4月3日(火)の時点で、コナラの木に巣材となる枝を積み上げはじめていたが、3日から4日にかけての暴風でほとんどの枝が落下した。4月6日(金)にはその場所に、ある程度巣が形になるまで枝が組み上がった。

同日午前6時頃には、同ペアではなく、3月25日(日)に抱卵を中止した別のペア(2009年生まれ、オス)と(2009年生まれ、メス)の2羽がこの作りかけの巣に飛来して枝を整える様子が確認されたが、午前4時頃に(2007年生まれ、オス)と(2006年生まれ、メス)の2羽が戻ってこれらを追い払うのが観察された。
同日18時頃には、巣の中に(2006年生まれ、メス)が座り込んでいるのが観察され、10分後には(2007年生まれ、オス)が交代して座り込む様子も確認されたため、6日の夕刻に産卵し、抱卵を開始したと判断した。
翌4月7日(土)午前8時15分頃には、オスが抱卵を中断して一時巣を空け、その約2分後にハシブトガラス1羽が巣に飛来して卵を持ち去る様子が、記録用に設置したビデオカメラの映像に録画されていた。
翌4月8日(日)にも別のペア(2009年生まれ、オス)と(2009年生まれ、メス)の2羽やハシブトガラスが巣に頻繁に飛来する様子が確認されたが、16時31分に(2006年生まれ、メス)が産卵する様子やその後(2007年生まれ、オス)に抱卵を交代する様子が観察された。4月9日(月)抱卵継続を確認している。

2.営巣・抱卵放棄を確認したペアについて
営巣ペア:(2009年生まれ、オス)及び(2010年生まれ、メス)
確認日:平成24年4月9日(月)
営巣場所:新潟県佐渡市
確認の経過:同ペアは、平野に近い傾斜地の杉林を中心に行動しており、林内の観察が難しい場所であったため、4月9日(月)に重点的に調査を行った。12時40分頃、2羽が同時に森林の外で確認されたため、林内の踏査を行ったところ、スギの木の下でトキの卵殻2個分を回収した。木には巣が確認された。
これらのことから、同ペアはすでに営巣・産卵を行い、抱卵を中止したものと考えられる。 産卵や抱卵中止の時期は不明である。

3.営巣を確認したペアについて
営巣ペア:(2008年生まれ、オス)及び(2008年生まれ、メス)
確認日:4月9日(月)
営巣場所:新潟県佐渡市
確認の経過:このペアは、昨年も営巣・産卵が確認されたペアで、GPS送信機の位置情報により、3月末頃から平地の特定の屋敷林をよく利用していることが確認されていた。枝を運んでいる場所は観察しにくい場所にあったが、4月5日(木)の時点では2羽同時に林の外で飛翔するのが観察されていた。
4月9日(月)に、観察のために林内にモニタリングチームが立ち入ったところ、午前6時30分頃に巣を確認し、営巣を開始していると判断した。メスが巣に座り込んだり、オスが飛来してメスが飛去する様子が確認され、すでに産卵をしている可能性もあるが、同日中に3時間以上巣を空ける様子も確認された。

4.放鳥トキの繁殖に関する状況

(1)営巣・抱卵中の個体

  営巣ペア 状 況

(1)

(2009年生まれ、オス)
(2010年生まれ、メス)

3月16日に営巣を確認。同日卵殻を巣の下で回収。3月17日に小型カメラを設置し、
翌18日には抱卵を確認。3月22日の時点で巣に3卵を確認。
4月4日現在抱卵を継続中。

(2) (2006年生まれ、オス)
(2005年生まれ、メス)
3月22日営巣を確認。3月26日に抱卵を開始しているのを確認。
4月4日現在抱卵を継続中。
(3) (2006年生まれ、オス)
(2008年生まれ、メス)
3月28日に営巣・抱卵を確認、3月20日及び4月2日の時点で、巣に少なくとも3卵を確認。
4月4日現在抱卵を継続中。
(4) (2006年生まれ、オス)
(2008年生まれ、メス)
3月23日営巣を確認。同日小型カメラを設置。4月1日のカメラの映像で抱卵行動を確認。
4月4日現在抱卵を継続中。

(5)

(2009年生まれ、オス)
(2007年生まれ、メス)

3月27日営巣を確認。4月2日に抱卵を開始しているのを確認。
4月4日朝に抱卵を中止しているのを確認したが、同日中に再度抱卵を開始した。

 (2)営巣中(抱卵未確認)の個体

  営巣ペア 状 況
(1)

(2009年生まれ、オス)
(2010年生まれ、メス)

3月22日に営巣を確認。
(2)

(2007年生まれ、オス)
(2009年生まれ、メス)

4月2日に営巣を確認。

 (3)営巣を中止した個体

  ペ ア 状 況
(1)

(2009年生まれ、オス)
(2009年生まれ、メス)

3月12日に営巣を確認、3月17日に抱卵を確認。3月25日に抱卵を中止した。
3月27日に測竿(ポール)を用いて巣の中を撮影したが、卵殻等は確認されなかった。
(2) (2009年生まれ、オス)
(2010年生まれ、メス)
3月19日営巣を確認。3月24日に抱卵を確認したが、4月4日に抱卵を中止した。

 (4)今後営巣をする可能性のある個体(去年ペアを形成した個体)

  個 体 状 況
(1)

(2008年生まれ、オス)
(2008年生まれ、メス)

昨年営巣した林の周辺で行動し、枝を運ぶのが観察されている。
(2)

(2007年生まれ、オス)
(2006年生まれ、メス)

昨年営巣した林の周辺で行動し、枝運び・擬交尾が観察されている。

(その他の個体)

  個 体 状 況
(1)

(2010年生まれ、オス)
(2009年生まれ、メス)

枝を運ぶのが頻繁に観察されている。
(2)

(2009年生まれ、オス)
(2010年生まれ、メス)

擬交尾が観察されている。
(3) (2010年生まれ、オス)
(2010年生まれ、メス)
枝運び・擬交尾も確認されている。