2020年度の野生トキの繁殖結果(速報値)について

環境省佐渡自然保護官事務所にリモートインタビュー

 

代表して答えてくださった澤栗首席保護官

 

Q1.今年の繁殖結果について、速報値の結果だけを比較すると、昨年より営巣ペア数も、巣立ちした幼鳥の羽数も少ないですが、これはどのような理由でしょうか?

A.繁殖期モニタリングは、60~70巣の繁殖状況を把握するとともに、ヒナ30羽程度に足環装着することを目標として実施しています。昨年は足環装着できるヒナの数が不足し、巣の探索に注力したため、モニタリングで確認できたペア数が多くなりました。今年は足環装着が順調に進んだため、昨年よりもモニタリングで確認されたペアが少なくなり、今回発表した速報値は昨年を下回りました。
 ただ、繁殖齢の個体数は昨年よりも増えていることから、モニタリングで見つけられなかった巣を含めると実際の営巣ペア数や巣立ちした幼鳥の個体数は昨年を上回る可能性があります。2020年の最終的な繁殖結果は、ねぐら出一斉カウント調査の結果も踏まえて、統計学的な推定を行い、10月頃に公表する予定です。

 巣から降ろされたヒナ 

 足環を装着して巣に戻します

 

Q2.国中平野にトキが集中している事の弊害が懸念されています。放鳥前には、トキは繁殖期にコロニーをつくらないとも言われていましたが、これまでに一つの林で最大何ペアが営巣しましたか?また、その場合、巣と巣の距離はどのくらい離れていましたか?

A.これまでにひとつのコロニーで繁殖した最大のつがい数は10ペアです。なかには一本の木に3巣が造られたこともあり、トキたちの巣は以前考えられていたよりも密集しやすいようです。国中平野にトキが集中している事がどのように影響するかは今後注意してモニタリングを続けていきたいと思います。

巣の中の親子(育雛中)

 

Q3.今季もカラス、トビ、ヘビ、若いトキなどの妨害はありましたか?

A.あまり目立った影響はなかったものと思われます。

 

Q4.今季のベストカップルなど、トキの繁殖にまつわるエピソードがあれば教えてください。

A.オスのNo.08とメスのNo.25のつがいについて紹介します。このつがいはオスが14歳、メスが12歳という熟年のつがいで、佐渡で最初にできた放鳥トキのつがいです。2010年から同じペアでの繁殖を続けており、一度も浮気したことがありません。今年も含めると、これまでに2羽で造った巣の数は15巣、巣立たせたヒナの数は11羽となっています。今年も仲むつまじく繁殖し、3羽のヒナを無事に巣立たせました。

 

まさしくベストカップルですね。来年も元気で仲良く子育てしてくれるといいですね。環境省佐渡自然保管事務所の皆さん、ありがとうございました!(写真 環境省提供)