澤栗首席自然保護官 着任の挨拶(佐渡自然保護官事務所)

 はじめまして。4月1日付けで若松の後任として佐渡自然保護官事務所に赴任した澤栗と申します。新潟県の旧巻町(現新潟市)の出身です。どうぞよろしくお願いいたします。
 30年程前のことになりますが、小学3年の時にトキの保護に関するノンフィクションの本を読んで読書感想文を書いたことがあり、人間が原因で絶滅の危機に瀕している生き物がいるということに衝撃を受けました。この頃は、日本産のトキはキンとミドリの2羽だけになっていた頃なので、再びトキが日本の空を舞うのは難しいだろうと寂しい思いを抱きました。この経験が自然保護の仕事を志すきっかけの一つとなり、人と自然が共生する世の中を実現していきたいという思いを抱いて環境省に入省しました。環境省に入省してから国立公園、鳥獣保護、外来種対策、動物愛護管理等の仕事を経験してきて、いつかはトキの保護の仕事に携わってみたいと思っていましたが、今回、その機会に恵まれることができました。
 佐渡に来るのは約20年ぶりでしたが、赴任して驚いたのが、トキに配慮した「生きものを育む農法」が広く実践されていることでした。ほ場整備されて生き物にとっては住みにくい水田を見慣れていた私にとっては驚きの光景で、農家の皆さんの取り組みに感銘を受けました。いくらトキを殖やして放しても、営巣地、ねぐら、採餌場等の生息環境が保たれていなければ生きていくことができません。トキの野生復帰が実現し、現在、推定で約340羽ものトキが佐渡に生息しているのは、佐渡に暮らす皆さまのご理解やご尽力のおかげなのだと感じました。関係機関や地域の皆さまと協力しながら、人とトキの共生を目指して精一杯がんばりたいと思います。  環境省 首席自然保護官 澤栗浩明