生きもの語り

生きもの語り

生きもの語りは、生きもの調査の一つの成果です。農家のみなさんが生きものへの愛情を語ることで、より深く安心を伝えることができます。皆さんも生きもの語りを書いてみてください。

 

(例)赤トンボを集める父(農と自然の研究所 宇根 豊 作)

この前ね、田んぼに行ったらね、お父さんのまわりに、ほんとうにいっぱい赤トンボが集まって飛んでいたね。わたしが、お父さーん、と呼んだら、お父さんが腰を伸ばしたよね。でもぜんぜん逃げないんだね。「そりゃあ、お父さんがイケメンだからじゃないかな」それは絶対ないと思う。「お父さんの汗の臭いが好きなんだよ」やめてよ、吐きそうになる。「それじゃあ、お父さんの近くに来ると、何かいいことがあるからかな」うーん、そんな気がするけど、いったい何がいいことなんだろう。うーん、たぶん赤トンボは、お父さんの近くに行くと、エサが食べやすいんだと思う。だって、赤トンボは稲につく害虫が大好きなんでしょう。「ヒントを教えようか。普段は害虫は稲の葉の裏に隠れて、しかも田んぼの中にいるから、赤トンボは食べることができないよね。」あっ、わかった。お父さんが田んぼで仕事して動き回るから、お父さんの回りの虫が飛びはねるんだね。それを赤トンボは食べに集まってくるんだね。「そのとおりだ」そうなのか、でもお父さん、いい気持ちだね。「そうだよ。だから田んぼに行くのが楽しいんだ」