2012年野生下誕生したトキ 最初のヒナ誕生及び営巣状況

平成26年5月6日、環境省からの発表で、新潟県佐渡市において、4月3日に営巣・抱卵を確認していた2012年に野生下で誕生したトキのペアにおいて、ヒナが誕生しているのを確認しました。また、4月8日に営巣・抱卵を確認していたペアにおいても、ヒナが誕生しているのを確認しました。これらのペアを含めて野生下のトキのヒナ誕生は、今期7組目となります。5月6日時点での野生下のトキの営巣状況について、併せてお知らせします。営巣が確認されているペアは、これらのペアも含めて21組、そのうち7組で育雛、13組で抱卵が確認されています。

1. ヒナを確認したペア

(1)

(1)個体番号:足環なし(2012年生まれ、オス)及び No.127(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月6日(火)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、4月3日にクロマツの樹上にて営巣・抱卵する様子が確認されていた。5月6日午前6時から8時15分頃にかけて、環境省職員が巣の様子を撮影し、撮影した映像を確認したところ、巣上にヒナ1羽の姿を確認した。
なお、これまでの観察経過から、ふ化日は不明である。

2012年生まれのトキの最初のヒナ誕生(赤丸)

(2)

(1)個体番号:No.50(2007年生まれ、オス)及び No.21(2006年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月6日(火)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

この2羽は、2011年の繁殖期から継続的にペアを形成していたが、いずれの年もふ化には至っていなかった。
このペアは、4月8日にスギの樹上にて営巣・抱卵する様子が確認されていた。5月6日午前6時頃、モニタリングチーム(調査請負事業者職員)が巣の観察をしていたところ、巣上にヒナ1羽の姿を確認した。
なお、これまでの観察経過から、ふ化日は不明である。

野生下トキ
確認されたヒナ(No.50及びNo.21ペア)(赤丸)

2.営巣・抱卵を確認したペア

(1)

(1)個体番号:No.06(2006年生まれ、オス)及び 足環なし(2012年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月3日(土)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

No.06は、今期No.96とペアを形成し、3月31日に抱卵が確認されていたが、4月18日に抱卵中止が確認されていた。
5月3日午前6時15分頃から9時30分頃にかけて、スダジイの木の巣上に1羽が座り込んでいる様子が確認されたことから、営巣・抱卵を開始したものと判断した。前日の朝に巣の空いた状態が観察されており、それ以降に産卵した可能性が高いと思われる。
営巣場所は、水田に隣接する雑木林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

(2)

(1)個体番号:No.143(2011年生まれ、オス)及び No.159(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月6日(火)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、4月に入ってから枝を運ぶ様子が確認されていたため、注意して観察を継続していたところ、5月6日午前8時15分頃に、スギの樹上に巣が造られ、巣上に1羽が座り込んでいる様子が確認されたことから、営巣・抱卵を開始したものと判断した。
5月2日に観察を行った際には抱卵が確認されていないことから、それ以降に産卵した可能性が高いと思われる。
営巣場所は、水田に隣接する杉林で、巣は地上から約十数メートル程度の高さに造られている。

抱卵する個体(No.143 No.159ペア個体不明)

3.抱卵中止を確認したペア

(1)個体番号:No.108(2010年生まれ、オス)及び No.115(2011年生まれ、メス)
(2)確認日:平成26年5月5日(土)
(3)場 所:新潟県佐渡市
(4)経 過:

このペアは、5月1日に再営巣・抱卵開始を確認したペアである。
5月2日と4日に巣の空いた状態が観察され、5日午前8時15頃から9時頃にかけても巣が空いた状態となり巣に戻る様子が確認できなかったことから、抱卵を中止したものと判断した。
なお、卵の殻の回収は本日時点で実施しておらず、巣内の観察は困難であり、抱卵を中止した理由は不明である。

【繁殖期のトキの観察について】
繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。