放鳥トキの営巣状況(4月26日発表)

 平成25年4月26日、環境省発表の営巣・抱卵・育雛状況です。4組の営巣中止が確認されました。本日現在、営巣が確認されているトキは7組、そのうち2組で育雛、5組で抱卵が確認されています。

1.営巣の中止を確認したペア
 1)No.88(2009年生まれ、オス)及びNo.115(2011年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月24日(水)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、4月12日に再営巣、14日に再抱卵を確認していたペアで、19日には巣の中に3個の卵があるのが確認されていた。
4月24日の早朝からモニタリングチーム(鳥獣保護区管理員)が観察していたところ、巣を空けた状態になっていることが確認された。25日以降も一時的に巣にいるのが確認されたことはあるものの、抱卵等は行わず、26日も巣にいなかったことから、24日に巣を放棄したものと判断した。巣の下の踏査は26日正午時点で、まだ実施していない。

 2)No.50(2007年生まれ、オス)及びNo.21(2006年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月24日(水)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、4月15日に再営巣、18日に再抱卵を確認していたペアである。
4月24日の午前7時頃にモニタリングチーム(請負事業者職員)が観察したところ、2羽がともに水田でエサを探すのが確認されたため、巣を放棄しているものと判断した。
翌4月25日に巣の周辺を踏査し、巣の下から卵の殻4個分を回収した。

 3)No.91(2009年生まれ、オス)及びNo.54(2009年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月24日(水)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

このペアは、4月17日に再営巣、19日に再抱卵を確認していたペアである。
4月24日の午前9時頃にモニタリングチーム(請負事業者職員)が観察したところ、巣のある林に数羽のカラスが出入りし、2羽が林から飛び出すのが確認された。巣を確認したところ2羽がともに巣を空けており、巣を放棄しているものと判断した。巣を放棄した直接の理由は不明だが、カラスが関与した可能性がある。
翌4月25日に巣の周辺を踏査したが、卵の殻等は回収されなかった。

 4)No.68(2009年生まれ、オス)及びNo.74(2010年生まれ、メス)

 確認日平成25年4月25日(水)
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 このペアは、3月28日に営巣・抱卵を確認していた。巣に接近しての観察が難しい巣であり、抱卵状況の継続的な観察は行われていないが、4月25日5時前からモニタリングチームが林外からの観察を行ったところ、当初の巣から数十メートル離れた杉の木に1羽が数回にわたって枝を運ぶ様子が確認された。このため、新たな巣で再営巣を開始している可能性があるが、少なくとも当初の巣については既に放棄しているものと判断した。

2.回収したヒナの解剖結果について
 4月22日に相川地区のペア(No.74(2009年生まれ、オス)及び No.96(2010年生まれ、メス)の巣の下から回収したヒナの死体について、4月24日に解剖を行った。その結果、胃内から幅3mmほどのハチ目の昆虫の頭部が確認された。
 このため回収されたのは、4月17日にふ化し、22日に巣の外に廃棄されたヒナであり、腐敗が進んでいたことから、20日から21日にかけて既に死亡していた可能性が高いと判断した。また、昆虫の頭部以外に胃の内容物が確認されなかったこと、回収時の体重が35gであったことから、死亡原因は「給餌不足」又は「給餌不足と体温低下」であったと判断した。

【繁殖期のトキの観察について】
 繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。