野生下トキ 今年3組目のふ化確認・2組目のヒナ死亡

平成25年4月22日、環境省からの発表で、本日、佐渡島内で営巣中のトキのペア1組について、ヒナに給餌を行っていると思われる状況が確認され、ヒナがふ化が確認されました。ふ化が確認されたペアは、今期3組目となります。また、Ustreamで営巣状況のライブ配信を行っているトキのペアについては、20日に2羽目のヒナがふ化したものの、22日までに2羽ともに死亡が確認されました。現在、13組が営巣し、1組で育雛、12組で抱卵が確認されています。(4月19日現在)

以下、環境省からの発表です。

1.ふ化を確認したペア
 No.33(2008年生まれ、オス)及びNo.38(2007年生まれ、メス)

給餌をする親鳥 オスNo.33
 場 所新潟県佐渡市
 経 過

 この2羽は、2011年の繁殖期に初めてペアを形成し、2012年にはそれぞれ別の相手とペアを形成していたが、今年、2011年の相手と再びペアを形成した。
3月16日に海岸部のクロマツで営巣を確認し、3月24日に、抱卵が確認されていた。
4月22日、モニタリングチーム(鳥獣保護区管理員)が巣から約80m離れた車の中から望遠鏡で観察したところ、午前6時16分からくちばしを開け気味にして胸元に近づける給餌と思われる動きを確認した。
その後も、午前8時台に、モニタリングチーム(新潟大学職員)等により、給餌の様子が複数回観察・撮影された。
ヒナの姿は確認されておらず、ふ化の時期やヒナの大きさ・数は不明である。今後も目視による観察を継続していく予定。

2.ヒナのふ化と死亡の確認について
 No.74(2009年生まれ、オス)及びNo.96(2010年生まれ、メス)

 場 所新潟県佐渡市
 経 過

3月14日 スダジイで営巣を確認
3月17日~23日 合計3個の産卵を確認
4月15日 オスがヒナ状の物体を巣の外に捨てる様子を確認
       (この日を最後にメスは巣に戻らない状態が続く)
4月17日 12時41分、ヒナ1羽のふ化を確認
4月18日 メスが他のオス(No.72)と行動をともにするのを確認
4月20日 10時11分、2羽目のヒナのふ化を確認
4月22日 午前6時52分、ヒナの死体(大きさから最初にふ化したヒナと推定)をオスが巣の外に放棄するのを確認した。
       残る1羽も、午前5時43分以降は明確な動きがなく、親鳥の羽繕い等にも反応しないため、既に死亡した可能性が高いと判断した。なお、親鳥(オス)は9時20分に巣から非去し、10時現在巣に戻っていない。
       ヒナの死亡原因・死亡時期については、1羽目のヒナは給餌量の不足又は体温の低下により20日から21日にかけて死亡した可能性が高く、2羽目のヒナは体温の低下により、22日午前10時までに死亡した可能性が高いと判断した。

【繁殖期のトキの観察について】
 繁殖期はトキが最も敏感になる季節です。人が巣に近づくとトキが危険を感じて巣を放棄してしまうこともあります。また、 一時的に巣から離れたスキにカラスなどの天敵に卵を奪われてしまう可能性もあります。そのため、トキの子育てが成功することを願って、 ヒナが巣立つ6月ごろまで営巣地への接近などは控えてくださいますよう、ご協力をお願いします。