■ 畦と鳥と -冬編-
稲刈り後、秋から春にかけて水が落とされた水田も鳥たちに利用されます。
コンバインで刈り取られた跡の稲わらを除けてみると無数の実った籾(もみ)が落ちています。
高性能のコンバインでもいくらかのロスがあります。この落ち籾は厳しい冬を迎える前の野鳥の貴重な餌となります。また、
冬の畦も鳥たちに様々なかたちで利用されています。餌場として、あるいは休憩場所として、
さらには調理場や風よけとしてその使い方はバラエティーに富んでいます。
【冬の畦で】

マガン
国中平野で越冬しているマガンの群れは、雪が降り積もる前までは水田の落ち籾を主食にしています。しかし、
畦に生えているイネ科植物の穂も大好物です。嘴でしごくようにして、ヒエなどの種子を食べます。休息や休眠をするときにも畦が利用されます。
最近流行の冬期たん水した水田(冬水田んぼ)を、マガンはあまり利用しません。国中平野で水をはった田んぼは、
夜間飛来して餌をとるカモ類が利用しています。
カモ類が群れで飛来した水田は餌をとるときに水面をかき回すために泥で濁っているのでわかります。(2008年1月 八幡地区)


ミヤマガラス・ユキホオジロ
大雪のとき、まず雪が消え始めるのが畦です。北西の季節風が強い国中平野では、畦の風上側は吹きさらされて雪が積もりません。
鳥たちは地面の出た畦に集まります。ミヤマガラスの数百羽の群れは、分散して地面の出た畦で採食します(2009年12月 新穂皆川地区)。
極北の地から渡って来たユキホオジロは、地面にはいつくばるようにして植物の種子をついばんでいます。(2008年1月 八幡地区)

オジロワシ
畦は大形の猛禽(もうきん)類にとってはよい調理場になります。マガモを捕らえたオジロワシは、畦の上で羽毛をむしりとり、
内臓から食べ始めます。目ざといトビやカラスがおこぼれにあずかろうとして、まわりに集まりちょっかいを出します。
ほぼ満腹したオジロワシは、トビやカラスの妨害で落ち着いて食事ができなくなり、我慢の限界に達すると餌を残して飛び去ります。
後はトビとカラスによる食べ残しの壮絶な奪い合いになり、最後に畦の上に残るのはマガモの羽毛だけになります。(2008年1月 竹田地区)

ハヤブサ
畦は風よけにも使われます。冬、国中平野で横殴りの強風が吹くと、雪は真横に吹き付けて目も開けあれなくなります。
大空の覇者ハヤブサもさすがに猛吹雪には耐えられず、風下側の斜面に伏せて、じっと吹雪が静まるのを待ちます。鉛色の空から斜光が射し、
一時風が吹き止むとハヤブサはおもむろに体勢を整え大きく伸びをしてから、大空に向かって飛び立っていきます。(2005年12月 泉地区)
国中平野の冬、生命の息づきが感じられない寒々とした風景のなかでも、日々、鳥たちの生存のドラマが繰り広げられています。
日本野鳥の会佐渡支部 近藤健一郎
